投稿するする言いながら結局月を跨いだのを懺悔します。
ほんとは先月上げる予定だった記事なんですが、結局実現しなかったのでこのタイミングで上げます。

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さて、前回の量産記事に於いて阪急8000系と共にデビュー30周年として名前を挙げた221系を今回は取り上げようと思います。今回も量産記事ですのであしからず。
221系はこれまで117系が使われていた新快速のサービスレベルをさらに向上するため、平成元年に東海道・山陽線に投入された電車です。それまで153系、117系と2扉車が続いていた新快速では、113系以来久しぶりの3扉車となりました。
特急車より先に快速用の車両を先に開発する辺り、JR西日本の私鉄との関係がよくわかります。
車両には153系のブルーライナー、117系のシティライナーに続き、アメニティライナーの愛称が付けられましたが、あまり浸透しませんでした。JR西は大体愛称関係では成功するんですが、万葉まほろば線などたまに妙に失敗しますね。
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側面窓は大きな連続窓になっていますが、これは前年に登場した近鉄5200系の構造を基にしています。また、車内オール転換クロス(一部固定)という構造も5200系を基にしており、この構造に関しては兄弟車として同年にJR東海が311系を投入しています。また、JR九州811系も同世代なので、この頃はちょうど転換クロス車が流行り始めた時期と言ってもいいと思います。なお、同じく転クロのJR北海道721系は前年の昭和63年のデビューのため、近鉄5200系と同世代です。また、先だって引退した近江鉄道の先代あかね号こと700系は、221系に影響を受けて造られたとされています。
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先頭形状は当時マリンライナーで運用されていた213系のクロ212の先頭形状を基にして作られました。但し、プラグドア方式の非常用貫通扉や窓上種別幕が取り付けられています。なお、このクロ212も、この間最後の残存車だったクヤ212(U@tech)が引退して完全消滅しました。
足回りは205系や211系、213系にて実績のあった界磁添加励磁制御ですが、最高速度は120㎞/hに引き上げられており、系列内にMM'ユニット方式と1M方式(通称220形)が混在しているのも特徴です。なお、台車は国鉄のDT50系を基にしたものを履いていますが、平成10年よりヨーダンパ取り付けが順次行われ、現在では設置完了しています。
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車体は大量増備を見込んで安価な鋼鉄製となりましたが、流石にそれまでより腐食しづらい構造になっています。車体塗色は白地に新快速のシンボルカラーであるベージュとブラウン、そしてJRのコーポレートカラーであるブルーの3色帯が巻かれています。
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行先表示器はJR西で225系や287系まで波及した方式である、種別幕を方向幕にし、行先幕をLEDにするという方式をJRで初めて採用しました。パンタグラフも下枠交差式をJR西で初めて採用し、これも321系辺りまで波及しています。ただ、221系ではまだ一般車へのミュージックホーンが採用されていなかったため、JR西のJR世代一般車としては唯一ミュージックホーン非搭載車となっています。
この様にかなりエポックメイキングな車両であったためか、平成2年のローレル賞を受賞しています。
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初めに投入されたのはやはりJR京都線・神戸線・琵琶湖線・山陽線・赤穂線の新快速、快速でした。登場翌年の平成2年には湖西線に、さらに3年には草津線にも進出しました。
そして実は網干区と同時に、奈良区にも平成元年に配置されています。大和路線と環状線で大和路快速としての運用を開始、大和路線からの直通の快速で使われていた113系を置き換えていきました。
奈良区では平成6年に本格的に和歌山線にも運用範囲を広げ、更に9年の新快速への223系投入開始に伴った余剰車の転配によって奈良区の配置車が増え、網干区に残った編成も11年にJR宝塚線へと活躍の範囲を広げました。
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翌平成12年に新快速が223系に統一され、網干区の編成が新快速運用から完全撤退しました。JR宝塚線の運用が拡大、奈良への転属車もまた出て、奈良車は阪和線でも活躍を開始しました。
翌平成13年には奈良線で運用を開始、これにより継続して奈良区への転入車が出ています。
平成15年には土休日、翌16年には平日でも播但線の運用が誕生し、同じ16年には113系の運用を置き換える形で大垣直通の快速運用も誕生しました。
平成18年、湖西線の運用が消滅、翌19年には草津線からも撤退し、14年の和歌山線和歌山~五条間以来4年ぶりに運用範囲が狭まりました。
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平成20年、性能に差があるために併結運用が消滅していた223系に、221系と性能を合わせた6000番代が登場、221系との併結運用が復活しました。そして同年に嵯峨野線での運用が開始、京都区に網干区から転属車が出て、この時点から3区所体制となりました。これによって湖西線の運用が復活しています。
平成22年には225系に置き換えられる形で阪和線ときのくに線から撤退、これ以降和歌山県内から221系は姿を消しました。
平成24年にJR宝塚線から撤退し、翌25年、草津線の運用が復活しました。平成28年にはJR西車の大垣乗り入れが消滅したことに伴って東海道線大垣~米原から撤退、そして31年、嵯峨野山陰線のうち胡麻~福知山間から撤退し、現在の運用範囲となっています。
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現在は網干区に8連5本(A編成)、6連14本(B編成)、4連3本(C編成)が、奈良区に8連9本(NB編成)、6連9本(NC編成)、4連29本(NA編成)が、京都区に4連24本(K編成)がそれぞれ配置されています。JR西でも最も運用範囲が広く、両数も多い系列の1つと言ってもいいのではないでしょうか。
さて、そんな221系ですが、平成24年よりリニューアル工事(体質改善工事)が開始されています。
車内は225系に準じた設備になっており、座席を1列減らして余裕のある配置になりました。手摺は黄色に着色され、化粧板や床板も完全に交換されています。ドアチャイムも設置されています。妻部に設置されていた車内LED案内表示器もドア上に移設され、他系列に準じたスタイルに変わりました。このほかもかなりいろいろ手が入れられており、最早見違えるような新車然とした車内設備を手にしています。
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外観では前照灯がHIDランプ化され、スカートは強化型に、更に前面幕板部にあったJRマークを撤去し、その場所に前面行先幕(LED式)を設置しました。反対側にあった運番表示器は撤去されています。また、前面窓の縮小やワイパー増設なども行われ、直接更新工事とは関係ないですが、奈良区配置車から側面幕をフルカラーLEDに変更された編成が出ています。これも見た目にはかなりの違いがあり、登場当初は驚きをもって迎えられました。そしてこれとは別に、平成22年に明石駅で発生した乗客転落事故に端を発する前面転落防止柵が更新未更新問わず設置され、併結運用の存在しない奈良区のNB・NC編成を除いて設置が既に完了しています。
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リニューアルに関しても、奈良区と京都区では既に完了しており、網干区に関しても未更新車はA編成3本を残すのみとなっています。そしてそのうちA15編成は入場しているため、これによってリニューアルされることがほぼ確定しているため、未更新車の残存はいよいよ、実質A1・A3の両編成8連2本計16両のみとなりました。
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この様に、登場から30年経ってもリニューアルを受けてなお120㎞/hの最高速度を活かして快速運用を務めあげ、他でもマルチに活躍し続けている221系。JR西初の新系列電車の活躍はまだまだ続きそうです。

量産記事第2弾はこれで終わりです。
この時期はどうしても記事の投稿が滞りがち(記事にするものがない)なので、こういうのもちょくちょく投稿します。
まあとりあえず計画してることもあるので、それを実行したらまた上げます。
それから一つお知らせというかご報告です。
ツイッター垢でも言いましたが、当愛好会、コミケに出ます。
8月12日月曜日、西ホールのう05aがブースになります。
いや、冬ダメだったんでね、やっとですよほんとに。
まだ2か月以上先ですが、当日はよろしくです。
それではまた。